2009年10月27日火曜日

夏の名残り

朝夕の気温がここ2〜3日
ぐ〜んと冷え 思わず寒いと・・・・・
昼間は 陽が射せばまだ暖かい
日も暮れようとしている頃
ふと眺めた教会の入り口にある植木鉢
宝塚デュランタの樹に 
蝉の抜け殻が逆立ちをして
前足でしっかりとしがみついていた
小さな樹 背丈は5〜60cm ぐらい
子どもでも容易につかめるところに・・・
暑い盛りには さぞ賑わいを
見せたことであろうに
しかし何故このような樹にと不思議に思う
教会の入り口に置かれた桶の鉢 毎年 季節によって植え替えをしている
それに桶の深さもあまりない 
そんな土の中で 幼虫は育ったのだろうか
蝉の幼虫は 土の中で数年から数十年はいると聞いている
また 土の中で樹木の樹液を吸って生きているはず 
樹木とは言い難い細いデュランタ それもその木を植え込んで
指折り数え切れないほどの年数は経ってはいない
でも この木の下で育ったのでしょう
どう考えても幼虫が歩いてくるとは思えない 
しかもコンクリートの上に置かれた鉢
何はともあれ しっかりと羽化したのでしょう
冷たい風が吹き始め 寒さに向かっている中 美しい姿で残っているとは
夏の暑い時 思いっきり青春を楽しんだことだろう
過ぎし日の暑い夏の日々が 心の中に彷彿として甦ってくる
楽しい夏 恋に破れて泣き明かした夏 子どもと戯れた海辺
また 子どもの時 母が 夜 蝉の幼虫を捕まえてきて
多分 庭の樹にいたのでしょう その蝉を 縁側に置くとその上にざるを
被せ 中がよく見えるように箸を棒代わりにたて ひとこと 
朝には 蝉になっているよ と 縁側にころんといる蝉を 熱心に見ていたこと
なんと和やかな時代だったか・・・・・
いろんなことが 甦ってくる
儚い 短い命を どのように過ごしたのか
人の命は あっという間に過ぎゆく
心して 過ごさねば・・・・・・と

余談ですが こんな歌を見つけました
蝉の抜け殻のことを 空蝉という この世 人間を意味する
「現身(うつせみ)」に「空蝉」の字を当て
「空蝉の」は「身」「命」「世」にかかる枕詞
命の短さから セミは 儚さにもたとえられる
  
  うちはへて音をなきくらすうつ蝉の
   むなしき恋もわれはするかな
      詠人知らず(後撰和歌集)

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