今宵は 闇夜 月は三十夜
一筋の光すら 漏れることなく
全くの暗黒
星が わずかに 瞬いているのが目に
街に住んでいるために 闇夜とは
言い難く 村や山など人工の光の
なきところなら 暗闇であろう
昔々 遙か彼方むかし
愛知川の源流を友と二人で
下ったことがある
仕事を終え 近鉄電車に乗車
その後 四日市で乗り換え 支線に
そしてさらにバスに 夜も8時まわり
バスは 村々に住む人たちが 勤め帰りらしく
何人か乗っていた
そしてある停留所で下車 バスのライトで あたりの景色がおぼろげに見えたが
全くの田んぼ 田んぼ バスが行く道の先に 家々が点在してるらしく
灯りがぼんやりと見えるだけ
そのバスを降り立ち さあ〜行くぞと 思う心とは裏腹に バスが走り去った後は
漆黒の闇夜 相手の顔さえ見えぬほど 真っ暗
どこかで 水の流れる音が聞こえる それ以外 物音一つしない
リックを背負った私たちが 降り立っただけ
誰もいない なにも見えない
奮い立った心は萎え 恐怖すら・・・・・どうして歩こう
私たちが行こうとする道は・・・・・?
バスを降りる時 微かに見えた森の方へ歩こうと 稲穂が植えられた水田の道を
水の音を頼りに歩きはじめる 山の中腹にあるヒュッテまで とにかく歩こう
この時は 哀しいかな 偶然にも闇夜の日
まさに 漆黒の闇夜とは このことかと思い知らされる
都会では 月が出なくても何らかの灯りが わずかにでもあるけれど
山では暗黒の世界
目が慣れてくるとかろうじて 相手の姿と道が おぼろげに見え
唯ひたすら道からはずれないように 下ばかり見て歩きました
足を踏み外せば どこかへ転落です その緊張感一杯の中 鈴鹿の山を登る
平地から木の生い茂る山へ 流れる水の音を頼りに
心細い心を抱えて とにかくヒュッテまでと・・・・・
〜続く〜
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