2012年9月12日水曜日

道、果てるまで

「八十歳を過ぎてなお、今も旅
を続ける老人と路上ですれ違っ
た。私は言った。「お元気そう
ですね。まるで少年のようだ」
老いた旅人は少しはにかんだよ
うに笑い、こう応えた。
「少年になるまでに、八十年か
かってしまった」

旅はするものである。

今から丁度 10年前 本屋の店頭で手に取った本 
まずはタイトルに惹かれて 「それでも世界は美し」 戸井十月著
タイトルがいい どんな本だろうと そ〜っとページを開くと四角い
囲みの中に faraway と横文字 その下にToi  Jugatsu そして出版
社も横文字で 白い紙ではなくクリーム色の紙面に おや しゃれて
いる 次のページは 日本語でタイトルと作者名が さらにめくると
上記の言葉が書かれていました なんという本 たちまちに心惹かれ
読んでみたい思いに駆られました それから目次 本文と・・・・
所々にカラーの写真が挿入 いろんな処を旅した時の人との出会い
その国の状況 いろんな事が書かれているようでした 唯 読みたい
その思いに求め読みあさりました 心強く打たれた記憶が頭に残って
います 最後の文章 こんな風に書かれ 締めくくってありました
「貧困があり、飢えがある。自然破壊があり、殺し合いがある。
 この世は全く不平等で、理不尽に満ちている。 
 しかし、
 それでも世界は美しい、人間は捨てたものじゃないと、思いたい」
この一冊以外に探せば見つけられたのかも知れませんが 本屋さんで
も目にすることがなく 次から次に読みたい本が出現して 戸井さん
の本が遠ざかり・・・・・でも でも 心に残っていました ある日
「道、果てるまで」〜ユーラシア横断3万キロの日々 4大陸10万
キロ記録〜 を目にした時は 懐かしいと 中味も何も見ないで求め
ました きっと 心惹かれる文章が綴られていると信じ切って・・・
目に狂いはありませんでした 感動 国による事情 モンゴルの平原
中国の天台山脈 すごい バイクで横断する その時の事情で宿泊地
が決まり また道ゆく人との交わり 人の情 子ども達の生き様 す
べて作者の感性が 滲み溢れ 齢60歳を過ぎた方の過酷な旅が き
れいな言葉で綴られています
とにかく読破して良かったと感慨ひとしお 最後のエピローグでは 
知らないうちに涙が溢れてきました
ポルトガルのロカ岬(7・9)をスタートしてロシアウラジオストック
に(10・29)到着までの120日間の記録 感想 国政事情 すご
いですよ 
港から港「ここに地果て、海始まる」で始まってその言葉で終わる旅
最後に 「五つの大陸を旅した先にも道はあるかって?
     もちろん、あるさ。」
この言葉で 終わっています 道は何処までも続く 人の絆のように
小説で 心に響くのとは違って また別の情感に晒されて・・・・
もし 機会があれば お読みになることをお薦めします
戸井十月 名前も といとつきさんかと思いましたら じゅうがつさ
ん 心をえぐりとる文章が 星空のように 所々 煌めいています
久し振りに ああ〜いい本に巡り会えたと充実感が過ぎっていきます
12年の歳月をかけ、ついに達成した5大陸走破の記録
今度はどちらへ旅されるのでしょう
まだまだ道は続きますもの 健康をお祈りして またの挑戦を楽しみ
に・・・・・

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